米どころ、和ごころ

季節を楽しみ、素材を生かす

山と海が近く、四季折々の新鮮な素材に恵まれた日本では、お米を主食に、料理に季節感を盛り込んできました。季節ごとに収穫される旬の素材は新鮮でおいしく、栄養も豊富です。素材そのものの持ち味や香り、彩りを生かすためあまり手を加えず、かつお節や昆布からとっただしや、しょうゆ、みそなどで素材のうま味を引き出し、ご飯と一緒に食べたときにちょうどよい塩味に調味されています。
こうした日本料理のおいしさの陰には、おいしい水の存在も忘れることはできません。マグネシウムやカルシウムが少ない日本の水は、素材のうま味や香りを十分に引き出し、お米を水で炊きあげるごはんを一層おいしくしてくれるのです。

器と彩りで演出し、目で楽しむ

日常の食事は、ごはんと汁物、主菜と副菜2種の「一汁三菜」が基本です。左を上位と扱うことから、主食のごはんは左に、汁物は右に置きます。菜(おかず)は豪華さの度合いにより増えていきますが、縁起の良い奇数となっています。また、茶席で出される懐石料理や、宴会などで出される会席料理などもあり、これらは一品ずつ順番に料理が出されます。
どの料理も、舌だけでなく目で味わえるのが魅力です。お茶わんに小高く盛られたごはんや、季節感を取り入れながら立体的に余白を生かして盛り付けられた料理は、見た目に美しく、食べる喜びをもたらしてくれます。
その演出に欠かせないのが器です。漆器、陶器、磁器などさまざまな材質や色、形があり、ごはんを盛るお茶わんには、初春を象徴する梅や、祝い事に好んで使われるおめでたい南天などの文様が多く描かれ、季節や行事にあわせて選ぶ楽しさがあります。また、日本ではお茶わんを手にとって食事をすることから、持ちやすさや手触りの良さも大切にされます。
もっとも食べ物を盛る本来の目的は、豊かな実りに感謝し、五穀豊穣を祈るためでした。ごはんもすでに8世紀頃から木をくりぬいた器に小高く盛る形が始まっていたといいます。日本ではお米に始まり、自然を尊び、自然を楽しみながら食事をする文化が大切にはぐくまれてきたのです。

ハレとケの食事

日本には、正月や端午の節句、冠婚葬祭といった特別な日のための「ハレ」の食事と、日常の食事としての「ケ」の食事があります。どちらも中心となるのはお米ですが、ハレの食事では普段食べないような特別な料理がふるまわれます。その代表が赤飯やおもちです。
赤飯はもち米に小豆を混ぜて蒸らした赤色のごはんで、赤はめでたい色で、魔除けの力もあるとされていることから、災いや邪気をはらう意味を込めて食べてきました。また、古代から神事に用いられた赤米の名残ともいわれています。
おもちは古くから神事に使われる神聖な食べ物で、神や精霊が宿ると信じられてきました。正月に、おもちを入れた汁物の「雑煮」を食べるのも、その年の守り神である歳神様にお供えしたお下がりをいただくことで、生命力や霊力を分け与えていただくという意味があります。「雑煮」は地域ごとに特色があり、おもちの形や味付けもいろいろです。
「ケ」の食事は、お米を中心に、身近に採れる野菜や魚介類が中心で、地域の生活や文化が色濃く反映されています。